この記事を書いた人

消化器病学会専門医、内視鏡学会専門医、肝臓専門医であり日本内科学会認定医の資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
特に消化器疾患の分野に力をいれており、苦痛の少ない内視鏡検査によるフォローや大腸ポリープ切除、日々のQOLに関わる機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった機能性消化管疾患、現在注目を集めている膵疾患など幅広く診療する。
2025年秋に武蔵小杉でクリニックを開業予定。

便秘症とは

便秘症は、排便がスムーズに行われず、便が硬くなる、排便回数が減るなどの状態を指します。症状としては、何日も便が出ない、お腹の張り、腹痛、残便感、食欲不振などがあり、症状が長引くと、痔などの疾患につながることもあります。便秘症患者は推定1700万人以上いると言われており、最近では心疾患や腎疾患の患者さんの予後にも影響することが分かり、たかが便秘と考えず積極的な治療が推奨されています。

以下のような症状が続く場合は早めに専門医に相談しましょう。

  • 何日も便が出ない
  • お腹が張る・痛い
  • 残便感がある
  • 食欲不振が続く

便秘症の原因

便秘症の原因はさまざまで、食物繊維や水分不足、運動不足、ストレス、生活リズムの乱れなどが挙げられます。女性や高齢者に多く、ホルモンバランスや腸の機能低下も関係しており、大腸がんによる狭窄やパーキンソン病などの神経性のものまで含めると多岐にわたります。見落とされがちなものが薬剤性であり、鎮痛薬などを内服し始めてから便秘症状が出現することもあります。

以下のような生活習慣に心当たりがある方は注意が必要です。

  • 食物繊維不足
  • 水分不足
  • 運動不足
  • ストレスが多い
  • 生活リズムの乱れ

便秘症の診断

便秘症の診察は問診から始まります。いつごろからや週の排便回数、便の性状などを確認します。また原因精査や状態評価のため腹部X線や大腸カメラを行い、大腸がんなどの狭窄を否定することも重要なプロセスです。これら検査と問診により便秘の性状を把握し診断に至ります。

便秘症の治療

便秘症の治療は、まずは食事や水分補給、運動、規則正しい排便習慣の確立が基本です。生活習慣の改善だけで難しい場合は、薬物療法が必要になることもあります。便秘症の治療薬には、腸を刺激する刺激性下剤、便を軟らかくする浸透圧性下剤、腸の動きを調整する薬など多くの種類があります。市販薬を自己判断で使い続けると効きにくくなる場合や浣腸を頻繁に使用することによる腸管損傷があるため、医師に相談し適切な薬剤を使用することが大切です。治療を続けることで多くの場合、症状の改善が期待できます。

当院Drよりひとこと

便秘症は誰にでも起こりうる身近なトラブルですが、放置すると慢性化することもあります。日頃から生活習慣を見直し、違和感があれば早めに専門医へ相談しましょう。また便秘の原因を検索することで思わぬ疾患が見つかることもあるため、症状改善だけでなく原因検索も行うことが大切です。快適な毎日を送るために、正しい知識と予防を心がけてください。当院では消化器病専門医、指導医による適切な診断と治療を提案することができます。もし気になる症状がある際には気軽に相談頂けたらと思います。