この記事を書いた人

消化器病学会専門医、内視鏡学会専門医、肝臓専門医であり日本内科学会認定医の資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
特に消化器疾患の分野に力をいれており、苦痛の少ない内視鏡検査によるフォローや大腸ポリープ切除、日々のQOLに関わる機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった機能性消化管疾患、現在注目を集めている膵疾患など幅広く診療する。
2025年秋に武蔵小杉でクリニックを開業予定。

大腸ポリープの症状

大腸ポリープとは、大腸の粘膜にできる小さな隆起のことを指します。様々な形があり、平坦なものや茎のあるキノコのような形のものなどがあります。多くの大腸ポリープは良性であり、初期には自覚症状がほとんどないため、健康診断や大腸内視鏡検査で偶然見つかることが多いです。しかし、ポリープが大きくなると出血を引き起こし、血便症状や貧血の原因になることがあります。またポリープが大きくなると悪性化することもあり、腫瘍性ポリープは早期に切除することが推奨されています。

以下のような症状がある方は早めに専門医へ相談しましょう。

  • 便に血が混ざることがある
  • 便が細くなる
  • 原因不明の貧血
  • 下痢と便秘を繰り返す
  • お腹に違和感が続く

大腸ポリープの原因

大腸ポリープができる原因は明確には解明されていませんが、食生活の欧米化や加齢、遺伝が関わっているとされています。脂質の多い食事や野菜不足、運動不足はリスクを高めると考えられています。特に家族に大腸がんの既往歴がある場合は注意が必要で、2-3倍のリスクがあるとされています。ポリープの中には放置するとがん化するものもあるため、予防のためには次の生活習慣を意識しましょう。

  • 野菜や食物繊維をしっかりとる
  • 脂質の多い食事を控える
  • 適度な運動を心がける
  • 禁煙・節酒を意識する
  • 定期的に内視鏡検査を受ける

大腸ポリープの治療

大腸ポリープは、大腸がん予防のために早期発見・早期切除が大切です。ほとんどの場合、内視鏡を使って切除することが可能です。ポリープの大きさや形状によりスネア切除、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの方法が選ばれます。小さなポリープであれば通常は日帰り手術が可能ですが、出血や穿孔などのリスクもゼロではないため、術後は安静にし、医師の指示を守ることが重要です。

治療の際には抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)の有無により切除できないこともあるため、医師と診察時に確認することも重要です。

大腸ポリープ切除後の食事

切除後は腸を安静に保ち、出血を防ぐために食事に注意が必要です。術後1週間程度は腸に負担をかけないよう、消化の良いものを中心に少量ずつ摂ることが大切です。特に切除後すぐは刺激物や脂っこい食事、アルコールは避け、以下のポイントを参考にしてください。

  • 香辛料など刺激物は避ける
  • アルコールは控える
  • おかゆやうどんなど消化の良いものを選ぶ
  • 脂っこい揚げ物は避ける
  • 少量ずつ回数を分けて食べる

当院Drよりひとこと

大腸ポリープは早期発見・早期切除で大腸がんの予防が期待できるため、定期的な検査がとても重要です。自覚症状がなくても年齢や家族歴を踏まえて内視鏡検査を受けることをおすすめします。もしポリープが見つかっても、正しく切除し、術後の食事管理と生活習慣の改善を心がければ大腸がんを未然に防ぐことができます。気になる症状がある場合は一人で悩まず、消化器病、内視鏡専門医である当院に相談してみてください。