感染性胃腸炎

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消化器病学会専門医、内視鏡学会専門医、肝臓専門医であり日本内科学会認定医の資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
特に消化器疾患の分野に力をいれており、苦痛の少ない内視鏡検査によるフォローや大腸ポリープ切除、日々のQOLに関わる機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった機能性消化管疾患、現在注目を集めている膵疾患など幅広く診療する。
2025年秋に武蔵小杉でクリニックを開業予定。

感染性胃腸炎とは

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などの病原体が原因で胃や腸に炎症を起こす疾患です。嘔気、腹痛、下痢症状が起こり、重症化すると脱水に至ることもあります。食事摂取が難しい場合は点滴加療が必要になることもあります。

感染性胃腸炎の症状

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などの病原体が原因で胃や腸に炎症を起こす疾患です嘔気、嘔吐、腹痛、下痢症状が出現し食思不振になります。重症化すると発熱や脱水症をきたすこともあります。

  • 吐き気・嘔吐
  • 下痢(粘液や血が混じる場合も)
  • 腹痛、腹部の張り
  • 発熱、悪寒、倦怠感
  • 脱水症状(口の渇き、尿量減少など)

感染性胃腸炎の原因

感染性胃腸炎の原因はウイルス・細菌・寄生虫など多岐にわたります。代表的なものは以下の通りです。

  • ノロウイルス、ロタウイルス(ウイルス性)
  • カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオ(細菌性)

病原体によって潜伏期間は異なりますが、症状が出るまでの目安は以下の通りです。

  • ノロウイルス:24〜48時間
  • ロタウイルス:1〜3日
  • カンピロバクター:2〜5日
  • サルモネラ:6〜72時間
  • 潜伏期間中でも感染力がある場合があります

感染経路と感染力

感染性胃腸炎は非常に感染力が強く、人から人へうつることも多い病気です。主な感染経路は以下の通りです。

  • 汚染された手指や調理器具を介した接触感染
  • 嘔吐物や便からの飛沫・飛散による経口感染
  • 感染者が調理した食品を通じた食中毒

感染性胃腸炎の治療

特効薬があるわけではなく、症状を和らげながら自然回復を待つのが一般的です。ただし重症化を防ぐためのケアが重要です。

発熱や腹痛に対しては適宜内服薬で対応します。

症状が落ち着くまでは食事を減らし、脱水症予防の経口補水液をこまめに摂取するようにします。飲水が難しい場合は点滴加療が必要です。

安易な止痢薬の使用は病原体の排出を遅延させてしまうことがありますので、医師と症状に合わせて相談しましょう。

  • 脱水を防ぐためにこまめな水分補給(経口補水液など)
  • 下痢止めの使用は医師の指示に従う(ウイルス排出を妨げる可能性あり)
  • 発熱や痛みに対しては解熱鎮痛薬の使用を検討
  • 抗生物質は細菌性の場合に限り、必要に応じて使用

登校・出勤停止の目安

感染性胃腸炎は職場や学校などで集団感染を起こす可能性があるため、症状がある間の出勤・登校は控える必要があります。学校や会社の規則に則り、場合によっては診断書が必要になることもあります。

  • 嘔吐や下痢などの症状が完全になくなってから48時間は出勤停止が望ましい
  • 特に食品を扱う職種ではさらに厳格な対応が求められる
  • 医師の判断で出勤許可が出る場合もあるため、指示に従うことが大切

当院Drよりひとこと

感染性胃腸炎は、誰もがかかる可能性のある身近な病気です。感染力が強く、適切な対応をしないと家庭や職場などで広がる恐れがあります。症状が出たら無理をせず、早めに受診し、安静と水分摂取を心がけましょう。重症化してしまうこともあるため、基礎疾患のある患者様は点滴加療も検討が必要です。当院では消化器病専門医が適切な治療法を提案することができるため、気になる症状がある際は遠慮なくご相談ください