この記事を書いた人

消化器病学会専門医、内視鏡学会専門医、肝臓専門医であり日本内科学会認定医の資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
特に消化器疾患の分野に力をいれており、苦痛の少ない内視鏡検査によるフォローや大腸ポリープ切除、日々のQOLに関わる機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった機能性消化管疾患、現在注目を集めている膵疾患など幅広く診療する。
2025年秋に武蔵小杉でクリニックを開業予定。
感染性腸炎とは
感染性腸炎は、細菌やウイルスなどの病原体が腸に感染することで起こる病気です。代表的な症状は下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱で、突然発症することが多く、体力を奪われやすいのが特徴です。特に乳幼児や高齢者は脱水になりやすいため注意が必要です。治療の基本は、水分摂取と電解質の補正、腸管安静で、飲水が難しい場合は点滴加療を行うことも有効です。通常は数日から1週間程度で良くなることが多いですが、症状が長引いたり脱水が進むと重症化するため、医師の指示に従って無理せず安静に過ごしましょう。
以下のような症状が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
- 急な激しい下痢
- 吐き気や嘔吐
- 腹痛やお腹の張り
- 発熱や寒気
- 脱水症状(口の渇き・尿量減少)
感染性腸炎の原因
主な原因は、食べ物や水を通しての細菌やウイルスの感染です。食中毒で有名なものとしてはO-157やサルモネラ、カンピロバクターなどがあり、代表的な原因には以下があります。
- 加熱不足の肉や魚介類
- 汚染された水や氷
- 調理器具の衛生不良
- ノロウイルスなどの飛沫感染
感染性腸炎の注意事項
感染性腸炎は人から人へうつる可能性があります。特にノロウイルスは非常に感染力が強く、家庭や施設内で広がりやすいです。感染を防ぐには次のポイントを心がけましょう。
- こまめな手洗い
- 調理器具の消毒
- 食品の十分な加熱
- 発症者のお世話後の手洗いと消毒
感染性腸炎と血便
感染性腸炎では腸の粘膜が傷つき、血便が出ることもあります。特に腸管出血性大腸菌(O157など)が原因の場合は、重症化する恐れがあるため、自己判断せず必ず医師に相談してください。
感染性腸炎の際の食事
感染性腸炎のときは、脱水を防ぎ腸を休めることが大切です。急性期は無理に食べずに水分補給を優先し、症状が落ち着いてきたら消化に良いものを少しずつとりましょう。以下のポイントを参考にしてください。
- 経口補水液で水分と塩分を補給
- おかゆやスープなど消化の良いものを選ぶ
- 脂っこいものや生ものは避ける
- 少量ずつ回数を分けて食べる
感染性腸炎の治療
治療の基本は、水分摂取と電解質の補正、腸管安静です。ウイルス性の場合は抗生物質は不要ですが、細菌性の場合は原因菌に応じて抗生物質が処方されることもあります。下痢止めは症状を長引かせることがあるので、自己判断で薬を飲まないようにしましょう。
飲水が難しい場合は点滴加療を行うことも有効です。通常は数日から1週間程度で良くなることが多いですが、症状が長引いたり脱水が進むと重症化するため、医師の指示に従って無理せず安静に過ごしましょう。
当院Drよりひとこと
感染性腸炎は多くの場合、適切な対処をすれば自然に回復しますが、ときに重症化することがあります。こまめな水分補給と正しい衛生管理で重症化を防ぎ、周囲にうつさないようにすることが大切です。症状が強い場合や不安な症状があれば一人で抱え込まず、医師に相談しながら安心して治療を進めましょう。