この記事を書いた人

消化器病学会専門医、内視鏡学会専門医、肝臓専門医であり日本内科学会認定医の資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
特に消化器疾患の分野に力をいれており、苦痛の少ない内視鏡検査によるフォローや大腸ポリープ切除、日々のQOLに関わる機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった機能性消化管疾患、現在注目を集めている膵疾患など幅広く診療する。
2025年秋に武蔵小杉でクリニックを開業予定。
食道裂孔ヘルニアとは
食道裂孔(れっこう)ヘルニアとは、胃の一部が横隔膜の食道が通る穴(裂孔)から胸腔のほうへ飛び出してしまう状態のことです。
本来、胃は横隔膜の下にありますが、食道と胃のつなぎ目の位置がずれ、胃の上部が食道側にずれ込み、逆流性食道炎などの症状を引き起こしやすくなります。
肥満や加齢による筋肉のゆるみが原因で起こることが多く、逆流性食道炎と密接な関係があります。
食道裂孔ヘルニアの症状
食道裂孔ヘルニアの代表的な症状には次のようなものがあります。
- 胸やけ、すっぱいものがこみ上げる感じ
- 喉の違和感や声のかすれ
- 食べ物がつかえるような感覚
- みぞおちから胸の奥にかけての痛み
特に食後や横になったときに症状が強くなるのが特徴です。
また、逆流した胃酸が気道を刺激することで慢性的な咳が生じたり、胸の圧迫感から息苦しさを訴える場合があります。
食道裂孔ヘルニアの原因
食道裂孔ヘルニアの主な原因は、横隔膜の筋肉が弱くなることです。
加齢や腹圧の上昇が大きく関わっています。そのため肥満などの腹圧が上昇するような場合は起こりやすくなります。
食道裂孔ヘルニアの治療
食道裂孔ヘルニアは逆流性食道炎につながりやすく、内科的治療は逆流性食道炎に準じます。内服加療としては胃酸分泌抑制薬が第一選択となり、難治性の場合は消化管運動促進薬や漢方薬を併用します。また生活習慣の改善も効果的です。
難治性や重症な場合は手術加療を選択します。手術では、胃を正しい位置に戻し、横隔膜の裂孔を縫い縮めて逆流を防ぐ「噴門形成術」という方法が一般的です。
当院Drよりひとこと
胸やけや息苦しさが続く場合は、自己判断せずに早めに相談してください。逆流性食道炎を併発していることも多く、内視鏡検査での確認を推奨します。当院では、消化器病と内視鏡専門医が検査から診断、症状に合わせた薬物療法・手術の必要性の判断まで、丁寧にサポートしますので、気になる症状がある際は遠慮なくご相談ください。